面接練習をしていると、質問に対して一生懸命答えているものの、話が長い。
伝えたいことが多すぎて、結局何が言いたいのかわからなくなる。
具体例をいくつも挙げてしまい、結論にたどり着くまでに時間がかかる。
話しているうちに論点がずれてしまう。
こうした生徒に対して、単に「もっと短く答えて」と指導しても、なかなか改善しません。
大切なのは、回答の型を身につけ、30秒〜1分で伝えたいことを整理する練習をすることです。
1. 面接で話が長くなる原因は、話す内容を整理する型が身についていないこと
面接で長く話してしまう生徒に対して、まず確認したいのは、本人が質問に対して何を伝えるべきか理解しているかということです。
話が長くなる生徒は、必ずしも話す内容が不足しているわけではありません。むしろ、伝えたいことが多く、どれを優先すべきか整理できていないことがよくあります。
例えば、「なぜこの大学を志望したのですか?」と聞かれたとします。
この質問に対して、本来は「自分が解決したい課題」と「大学で学びたいこと」のつながりを中心に答える必要があります。しかし、話が長くなる生徒は、興味を持ったきっかけ、高校時代の活動、オープンキャンパスの感想、将来の夢など、関連する情報をすべて盛り込もうとします。
それぞれは必要な情報かもしれません。しかし、すべてを同じ比重で話すと、結局どこが一番伝えたいことなのかわからなくなります。
ここで重要なのは、回答を短くすることだけを目標にしないことです。
質問に答えるために必要な情報を選び、伝える順番を決める。これが、面接で回答を整理するための基本です。
2. 回答は「結論→理由→具体例→大学での学び」の順番で組み立てる
長く話してしまう生徒には、まず回答の型を教えましょう。
おすすめは、次の4つの順番です。
- 結論: 質問に対する答えを最初に伝える
- 理由: なぜそう考えているのかを説明する
- 具体例: 自分の経験や調査した内容を使って説明する
- 大学での学び: 必要に応じて、大学で何を学びたいかにつなげる
すべての質問で4つの要素を必ず使う必要はありません。質問に応じて必要な要素を選ぶことが大切です。
例えば、「高校生活で最も力を入れたことは何ですか?」という質問なら、次のように整理できます。
話が長くなる回答
「私は高校生活で、地域の教育格差について調べる活動に力を入れました。もともと教育に興味があり、ニュースなどを見ているうちに地域によって学習環境が違うことを知りました。それから、教育格差についてもっと知りたいと思い、いろいろな資料を調べたり、実際に話を聞いたりしました。その中で、家庭の経済状況だけではなく、地域にある教育機関の数なども関係していると知り……」
この回答では、質問への答えが出てくるまでに時間がかかり、活動の説明も広がりすぎています。
整理した回答
「私が高校生活で最も力を入れたのは、地域による教育格差について調べる活動です。資料を調べ、関係者から話を聞く中で、教育格差は家庭の経済状況だけでなく、地域の学習環境にも関係していると学びました。この経験から、教育格差を複数の視点から考える必要性を感じ、大学では教育政策について学びたいと考えています。」
このように、最初に結論を伝え、その後に理由や具体例を加えれば、同じ経験でも要点が伝わりやすくなります。
生徒に指導するときは、いきなり完成した回答を作らせる必要はありません。まずは「結論は何?」「その理由は?」「具体例は一つ挙げるなら何?」と質問し、回答の材料を整理していきましょう。
3. 30秒と1分の回答を使い分け、伝える情報に優先順位をつける
回答の型を理解したら、次は時間を意識した練習です。
面接では、質問に対して長く話せばよいわけではありません。必要な情報を整理し、相手が理解しやすい長さで伝えることが大切です。
そこで、同じ質問に対して「30秒で答える練習」と「1分で答える練習」を行います。
30秒の回答では、結論と最も重要な理由を伝える。
1分の回答では、そこに具体例や大学での学びを加える。
このように、時間によって回答の構成を変えます。
例えば、「なぜこの学部を志望したのですか?」という質問なら、30秒では志望理由の核となる部分に絞ります。1分では、関心を持ったきっかけや大学で学びたい内容を加えます。
大切なのは、1分の回答をただ長くすることではありません。30秒で伝えた内容を土台にして、必要な情報を追加することです。
練習するときは、次の3点を確認しましょう。
- 30秒で質問に対する結論を伝えられているか
- 1分の回答では、具体例によって説明が深まっているか
- 同じ内容を言い換えて繰り返していないか
時間を計って練習すると、生徒自身も回答の長さを把握しやすくなります。最初から時間内に収めることだけを求めるのではなく、まず話してみて、不要な部分を削り、もう一度答えるという順番で進めましょう。
4. 質問ごとに伝える内容を絞り、具体例を盛り込みすぎないようにする
回答を整理するうえで、もう一つ重要なのが、質問に応じて伝える情報を選ぶことです。
例えば、「その活動で何を学びましたか?」と聞かれたとき、活動を始めたきっかけから、取り組みの全過程、苦労したこと、成果、将来の夢まで説明する必要はありません。
この質問で最も重要なのは、活動を通して何を学んだのかという点です。
もちろん、学びを説明するために具体例を加えることは有効です。しかし、具体例が増えすぎると、質問の中心から離れてしまいます。
そこで、生徒には
「この質問で一番伝えたいことは何か」
「それを説明するために必要な具体例はどれか」
と考えさせましょう。
具体例は、たくさん挙げるほど説得力が増すわけではありません。伝えたい結論を裏づける具体例を一つ選び、そこから何を考えたのかまで説明することが重要です。
また、すべての回答を無理に大学での学びにつなげる必要もありません。質問が活動経験についてなら、その経験から得た学びを中心に答えれば十分です。大学とのつながりを聞かれたときに、そこで初めて志望理由と結びつければよいのです。
回答の型は、内容を無理やり当てはめるためのものではありません。質問に対して、必要な情報を選ぶための道具として使いましょう。
5. 回答を短くするだけでなく、質問に正面から答えられているかを確認する
話が長くなる生徒を指導するとき、注意したいのが、短くすること自体を目的にしてしまうことです。
例えば、「あなたの強みは何ですか?」という質問に対して、「私は責任感があります」とだけ答えれば、確かに短くなります。しかし、それだけでは、なぜ責任感があると言えるのかが伝わりません。
反対に、責任感を示す経験をいくつも説明すれば、今度は話が長くなってしまいます。
必要なのは、質問に答え、その答えを裏づける情報を適切に加えることです。
「私の強みは責任感があることです。学校行事では、担当した仕事を最後までやり遂げることを意識していました。この経験から、自分の役割を果たすことが、周囲からの信頼につながると学びました。」
この程度でも、結論と具体例、そこから得た学びを伝えられます。
指導する側は、回答の長さだけでなく、次の点も確認しましょう。
- 最初に質問への答えが示されているか
- 理由や具体例が結論を支えているか
- 質問されていない情報を盛り込みすぎていないか
- 最後まで聞いたときに、何を伝えたかったのかが明確か
短くても内容が伝わらなければ意味がありません。反対に、必要な説明が含まれているなら、多少長くなっても問題ありません。目指すべきなのは、単に短い回答ではなく、必要なことが過不足なく伝わる回答です。
6. 最初から完璧な回答を目指さず、話す・振り返る・修正する練習を繰り返す
最後に、回答を整理する力は、実際に口に出して練習することで身についていきます。
最初から30秒で完璧に答えられる生徒ばかりではありません。話しているうちに内容が増えたり、結論が後回しになったりすることもあります。
そのため、指導では一度の回答で完成させようとせず、段階を分けて練習することが大切です。
まずは、質問に対する答えを一文で書き出します。次に、その理由と具体例を一つずつ加えます。それを実際に声に出して答え、時間を計ります。最後に、重複している部分や質問に直接関係しない部分を削り、もう一度答えます。
この手順を繰り返すことで、生徒は自分の回答のどこが長くなっているのかを理解できるようになります。
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