3月10日、東京大学の合格者が発表されました。
理Ⅰと理Ⅱの合格最低点が逆転するなど、様々な波乱が巻き起こった2026年度東大入試。
進学実績の中でも別格である「東大合格者」。何人を東大に送り込んだかが毎年注目の的になっており、東大合格者数ランキングすら作られるほど。
今回は、高校研究家である筆者が、現時点で判明している情報をもとに、今年合格者を出した高校の中から合格者数が大きく伸びた学校・注目校をピックアップして紹介します。
(数字は東大合格者数。3月10日発表時点。)
1. 開成中学校・高等学校 197人
44年連続で合格者数1位を維持している開成ですが、今年も圧倒的な人数が合格しました。
おそらく今年も1位であり、45年連続1位はほぼ確実でしょう。
197人という数字は、全高校を通しても歴代4位という驚異的な記録です。王者の底力を見せつけました。
今年の東大入試では数学の難化が指摘されています。開成は中学入試の算数、高校入試の数学ともに全国でも屈指の難度で知られ、数学力の高い生徒が多い学校です。そうした素地が結果に表れた可能性もあります。
2. 聖光学院中学校・高等学校 92人
2024年に100人合格を達成し、昨年も95人合格と好調だった聖光学院。今年も92人と高水準を維持しました。
アクセスの良さや面倒見のよい教育スタイルが評価され、近年急速に人気を高めています。
現在では神奈川県内で栄光学園を上回る人気を集め、関東トップクラスの受験生が集まる学校になりました。
特筆すべきは現役合格率の高さ。
92人のうち現役合格者は85人。
1学年約230人であるため、4割近くが現役で東大に合格している計算になります。これは例年の開成や麻布を上回る水準です。
また聖光学院は「塾いらず」の学校としても知られています。
関東では鉄緑会など大手塾に通う受験生が多い中、聖光では塾に通わない生徒も多く、学校の教育力の高さを示していると言えるでしょう。
「塾ナシ東大合格」が現実的に見えてくる進学先です。
3. 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 82人
近年猛烈な勢いで快進撃を続ける渋幕ですが、今年はなんと東大合格者数が過去最高の82人に。
共学校で東大合格者80人以上を出した学校は、2005年の東京学芸大学附属高校以来ほとんどなく「80人の壁」としてそびえたっていました。
しかし2025年の日比谷高校に続き、渋幕もこのラインに到達。
今後、ますます注目が集まることでしょう。
自由な校風のもとで生徒の興味関心を伸ばす教育が評価され、近年人気が急上昇している同校。
さらに幕張ニュータウンの成長によって若い世代が流入していることも、受験生の集まりやすさにつながっているでしょう。
東大合格者ランキングでは男子校・女子校が上位を占める傾向がありますが、渋幕は共学校。
1学年約400人という規模を考えると、将来的に開成の牙城を脅かす存在になる可能性もあります。
4. 西大和学園中学校・高等学校 75人
昨年44人だった西大和は、今年75人と大幅増。
31人増という大きな伸びを見せました。
奈良県にありながら東大志向が非常に強い学校として知られています。
関西の有力校の受験生を幅広く集め、灘や甲陽学院の併願校として入学した生徒を東大へ送り出すなど、新興校ながら関西の高校勢力図を大きく変えてきました。
かつては厳格な校風で知られていましたが、近年はやや自由度を高める方向へ転換しているとも言われています。
今後さらに伸びるのか、70人台で安定するのか、引き続き目が離せません。
5. 神奈川県立湘南高等学校 38人
神奈川県藤沢市の名門公立・湘南高校からは38人が合格。
30人超えは1992年以来34年ぶりという快挙です。
かつて神奈川県の公立トップ校といえば湘南でしたが、近年は横浜翠嵐や公立中高一貫校の台頭によって存在感がやや低下していました。
しかし今年は一気に数字を伸ばし、再び注目を集めています。
湘南は比較的浪人率が高い学校でもあるため、今年の入試難化が浪人生に有利に働いた可能性も考えられます。
長らく私立優位だった神奈川の大学進学事情ですが、横浜翠嵐に続き、湘南も復権の兆しを見せているのかもしれません。
6. 東京都立小石川中等教育学校 25人
都立中高一貫校の代表格である小石川中等教育学校は、25人合格で過去最高となりました。
中等教育学校として再編されたのは2006年ですが、今回の数字は改組以降で最高。
さらに、都立中高一貫校の歴代記録としても最多です。小石川高校時代まで含めても、過去50年で最高水準となります。
都立中高一貫校の登場は、東京の中学受験市場に大きな影響を与えました。
長く低迷していた都立高校ですが、21世紀に入り東京都が再建に本格的に取り組み、日比谷高校の躍進など成果が現れています。
小石川の成功は、公立進学校復権の象徴と言えるかもしれません。
7. 芝中学校・高等学校 21人
東京タワーのすぐ近く、港区にある男子校・芝。今年は21人が合格し戦後最多を記録しました。
芝の特徴の一つは、OBの結びつきの強さです。
卒業生が自分の子どもを入学させるケースも多く、「親子で芝」という家庭も珍しくありません。
こうした強固な学校コミュニティが、学校の魅力と受験生の人気を支えていると考えられます。
実は戦前、「御三家」とは麻布・開成・芝の3校を指していました。
伝統校の底力を感じさせる結果です。
8. 巣鴨中学校・高等学校 13人
かつて「新御三家」と呼ばれた巣鴨。
全盛期には80人近い東大合格者を出していましたが、昨年はわずか1人と大きく落ち込んでいました。
しかし今年は13人(うち現役11人)と回復。
2桁合格は2020年以来、6年ぶりです。
一つの要因として考えられるのが「算数選抜」入試でしょう。
算数1科目で受験する入試方式で、2019年から導入されました。
高い算数力を持つ受験生を集めることができ、学校の学力層の底上げにつながっている可能性があります。
今回の結果は、巣鴨の再浮上を示す兆しかもしれません。
伝統校より新興校にも注目を
伝統校ばかりに注目が行きがちですが、実はその陰で新興校が猛烈な追い上げを見せていることが分かった2026年度東大入試。
もしかすると、いつの日か「御三家」の顔ぶれが変わったり、「御三家よりも○○」などと言われてしまう時代も来るのかも。
受験戦争のひとつの頂点である東大入試ですが、合格実績を見ることで、その学校の教育方針や実態などをある程度うかがい知ることが可能です。
特に、数年分のデータをまとめてみたときに、その延長が上昇しているか下降しているかを確かめれば、「子どもが入学してからどう変化していきそうか」すらも予想できます。
今年以降、高校受験を考えられている親御さんなどは、一度進学先の高校がどのような進学実績を持っているか、過去数年分にわたって調べてみるのもいいかもしれません。
情報ソース:
inter-edu「東大合格者数ランキング」(2026年3月10日閲覧)
https://www.inter-edu.com/univ/2026/jisseki/todai/ranking/
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