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  沖縄の現実をみなさんは知っていますか?

 青い海と観光リゾートのイメージで語られる沖縄。しかしその一方で、教育・産業・医療の現場は全国的に見ても厳しい状況に置かれています。全国学力テストでは毎年のように最下位争いを繰り返し、初任給や平均年収も全国最低水準。観光業に大きく依存した産業構造は不安定で、介護や医療の人材不足も深刻です。

 特に教育の分野では、学力の低迷、進学率の低さ、そして家庭の経済格差が複雑に絡み合い、若者たちの将来を閉ざしてしまう現実があります。

 今回は、沖縄で専門学校を運営する理事長と沖縄科学技術大学院大学への取材も交えながら、外からは見えにくい“もうひとつの沖縄”を掘り下げ、この地域が直面する「闇」の姿を明らかにします。

学力最下位の現実

 「大学に進む割合が低く、家庭の事情で専門学校を選ぶ子が多いのかなと思っています」ーーSAPジャパンと提携し日本初のSAP専門教育を導入、沖縄でIT人材育成を通じて教育課題の解決を目指す沖縄ビジネスソリューション専門学校を運営する宜保直哉理事長は、沖縄の教育の現状をこう語った。

 実際、沖縄の教育水準は長年にわたり全国最下位クラスにとどまっています。2025年度の全国学力・学習状況調査では、小学校算数の正答率が全国平均58.0%に対して51.0%、中学校数学は48.3%に対して38.0%と、10ポイント以上の差が開きました。理科でも全国との差は約6ポイントに及び、主要科目すべてで平均を割り込んでいます。

 さらに深刻なのは学習意欲。「授業の課題を自ら考えて取り組む」と答えた割合は小学生27.8%、中学生25.0%と、全国平均を大きく下回りました。学力だけでなく、学びに向かう姿勢そのものが弱まっている。

 背景には家庭の経済力がある。沖縄の平均年収は約394万円と全国最下位水準にとどまり、新卒初任給も大学卒で17万円台と最低レベル。家庭が塾や教材に投資できず、教育格差がそのまま所得格差を再生産しています。その結果、大学進学率は全国平均を15〜20ポイント下回り、多くの若者が進学を断念せざるを得ません。

 さらに、離島や過疎地域では病院や介護施設が不足し、家族が介護を担う「ヤングケアラー」として育つ子どもも少なくありません。放課後や休日を介護に費やし、学習や受験準備に十分な時間を取れない現実があります。

 つまり、沖縄の教育格差は子どもの努力不足ではなく、経済・家庭・社会構造の複合的な要因によって固定化されているのです。

観光に頼る経済の限界

「沖縄でITという学校もいくつかはありますが、産業全体としては観光に大きく偏っていて、不安定なんです」──SAP専門学校を運営する宜保直哉理事長はそう指摘する。

 沖縄県の県内総生産は、第3次産業が86.5%を占め、製造業は13.2%にとどまる(令和4年度)。観光を中心としたサービス業が地域経済を支える一方で、景気や災害、国際情勢に左右されやすく、不安定な構造となっています。

 その結果、県民の平均年収は民間調査で約394万円と全国最下位水準。厚生労働省の統計でも初任給は全国最低水準にあり、大卒の全国平均24.8万円、高卒19.8万円に対し、沖縄はこれを下回っている。加えて、非正規雇用率は40%を超え、全国平均を上回っており、安定した所得を得にくい状況が続いています。

 こうした経済の脆弱さには教育の課題が直結しています。令和5年の沖縄県における大学等進学率は46.3%と、全国平均の60.8%を大きく下回りました。一方で専修学校進学率は25%前後と全国平均(約17%)を大きく上回り、特に医療・看護系の専門学校を選ぶ学生が目立つ。

 宜保直哉理事長もこう語る。
「所得の低さという現実が大きく影響していると感じます。学費を奨学金で賄う割合は非常に高いですし、介護や子育ての負担も大きい。医療も結局は病院に行かないといけないですからね」

 進学を断念する理由は、単に学力不足ではありません。家庭の経済的制約や介護・子育てを含む家庭事情、昼間に大学へ通えない生活環境など、複合的な要因が絡み合っている。

 その結果、進路は「資格さえ取れば就職が安定する」と考えられる医療・看護・介護分野に集中します。沖縄の専修学校在校生のうち、約3割が医療関係学科に在籍しており、これは全国平均(2割弱)を大きく上回る。高齢化の進行や離島医療の不足から、地域における医療・介護人材の需要は全国以上に強く、若者が現実的な選択肢として医療系を志す傾向を後押ししています。

 産業が多角化できない背景には教育の課題も大きく関わっている。県内企業の多くは中小規模で、大人数を一度に採用・育成する余力が限られています。その間に優秀な学生は進学や就職で県外へ流出し、そのまま戻らないケースが多い。結果として観光依存の経済構造が温存され、地域経済の停滞が繰り返されるという負の循環が生じています。

でも、希望の光がある!

 沖縄は、学力が全国平均を下回り、進学率も低迷。初任給や年収は最下位水準にとどまり、観光依存の産業構造は不安定です。医療や介護の人材不足も深刻で、住民の生活基盤すら揺らいでいます。まさに「教育・産業・医療」すべての領域で“闇”を抱えているといえるのではないか。

 しかし、闇がある一方で、そこに挑む“光”も確かに存在します。

 沖縄ビジネスソリューション専門学校は、出口戦略を伴ったIT教育によって若者のキャリアを切り開こうとしています。また、沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、世界水準の研究拠点として沖縄から新たな知を発信し続けています。

 今回、教育メディア「未来図」の代表である孫 辰洋がこの沖縄のこれからの教育の光となる二つの施設を直接取材しました。この現実を踏まえ、次回からはその“光”に迫る具体的な取り組みを紹介していきます。