外国人が身近すぎる港町

東京で英語を話していると「帰国子女?」「留学経験あるの?」と聞かれます。でも「ご主人様外国人ですよね」と謎の決めつけを食らうのが国際都市・神戸。なかでも旧外国人住宅地だったエリアの小学校はクラスの2~3割くらいが外国人子女、ハーフ、祖父母や曽祖父母世代に移住した外国ルーツの子女。街を歩けば各国大使館が集う麻布エリアよりも、外国人遭遇率高いです。
徒歩圏内にジャイナ教寺院、モスク、シク教寺院、シナゴーグ(ユダヤ寺院)、ロシア正教寺院、関帝廟、カソリック教会、プロテスタント教会が共存する土地柄です。宗教戦争現役継続中のエリアから来た方々は、腰を抜かしてしまうそう。1868年慶應年間に開港された国際都市ならではの気風といえるでしょう。そんな神戸が育んだのが、こちらの市立葺合高等学校です。
1000万円おトクかも? 聞いてびっくりの進学実績

葺合高校国際科は毎年海外大進学者が5~10名。なんと過去にはアメリカのウェズリアン大学進学の生徒が柳井財団からの奨学金を取得。これらの実績は先生方が海外大受験の方法を知悉しており、7人在籍するネイティブ教師がエッセーを添削、英語での成績や推薦書の提出といった経験値が高いことが大きく貢献しています。都内で同程度の進学先の国際系私立中高一貫へ行く場合、中学受験を含め1000万円はかかります。1000万円は下手すると数年分の海外大費用や海外留学費用に該当するわけで、そこを節約できるとなると選択肢が広がりますね。県内の淡路島などから1時間半以上かけて通う生徒がいるのも納得です。
国際会議主催が授業単位に
葺合高校の目玉は、探究系英語授業の「グローバルスタディーズ」。なかでも高3は、海外から参加者が訪れる『高校生国際会議』の企画運営がメイン。昨年度のテーマのひとつには「携帯を見ることでの睡眠減少と、それによる精神状態や身体状態の悪化」。普通に面白そうな内容だな?!
議題解決のため、各国の視点でプレゼンを行った後、共通点や相違点についてディスカッションを行いました。また各国生徒がそれぞれポスター作製や啓発活動を行うなど、実際に社会へのアクションをします。

昨年は台湾、オーストラリアから実際に生徒が訪れ、国際会議&交流を楽しみました。参加生徒たちはホームステイで土日の行動を共にしています。

こちらが国際会議運営会場のフェニックスホール。あれ、私立中高一貫の私の出身校よりきれいに見えるような…いえ、むしろ思いっきりゴージャスです。
模擬国連も授業にしちゃいますか?!
高校生国際会議の終了後は、「グローバルスタディーズⅢ」は生徒たちが各国を代表する形に分かれてシミュレーションをする模擬国連授業に。模擬国連といえば、キレッキレの学校一の優等生が参加して、推薦入学の実績にするという印象ですが、なんとこちらは全員参加。そして「平和機構」といったテーマを話し合っていきます。3年間で英語での模擬国連ディスカッションが可能になる葺合高校、恐るべし。
社会科教師も共同担当し、英語論文を書くガチ探究
探究系授業で「社会問題を考えていく」上において欠かせないのが社会システム、立法システム、行政システム、法律への幅広い知識。高2時に週2コマあるグローバルスタディーズⅡBでは、地歴公民科教員、英語科教員、英語ネイティブ教師のALTの3人で授業を進行。教科横断型の学校独自の設定科目で、社会の問題解決を目指して学び考えていきます。

そして最終的には一人1本の英語論文を提出します。高校生にとっては日本語で論文を書くのも大変なのに、しかも英語です。英語好きにはワクワクします♪

ナチス政権下で潜伏生活を余儀なくされたアンネ・フランクや人権活動家のマルコム・エックス、女性への教育を求めた活動家マララ・ユフジザイなどについてのディスカッションを持ち、現代の日本の問題についても活発に意見交換を行いました。
高校生ながら第二外国語学習開始可能!
選択コマ数が多いのも特徴。2年時の選択制4コマは数学を選ぶことも可能ですが、コミュニケーションやグローバルスタディーズに加え、日本文化紹介や中国語、スペイン語も選択可能。第二外国語というと、普通は大学から学習開始ですよね。でも、言語は若いうちからやるほうが伸びは明らかに早い。しかも、論理性を獲得している高校時代に英語以外の言語をやっておくのは人生に+++。
また、国際系の学部では中国語やスペイン語の母語の生徒が必ずいます。中国語やスペイン語ができると、人脈めちゃ広がります!
3年からの選択科目5種には中国語、スペイン語以外には、国立大入試向けの理系科目以外に、アジア地域研究が選択肢として存在しています。
日本の教育から即行くと危険な海外型授業も安心召され
文部省が推進とか、流行っぽいからという理由で探究授業を取り入れている学校は多いです。でも、葺合高校は「国際的な学際指針」として、ディスカッションやグループワークに30年以上取り組んできました。
実は海外大学や国際系の学部に進学した時、ほとんどの日本人が苦戦するのが「答えのない探究系授業」やグループスタディとディスカッション。どうプレゼンするか、どう他人とやり取りするか…。自己主張をどこまでするかなど、当惑は深まるばかり。しかもそれを英語行うのです。暗記中心の学習で優秀なスコアを出していた生徒が鬱になってしまうことさえままあります。
高1では「ディベートディスカッションⅠ」2コマ、高2では「ディベートディスカッションⅡ」と「エッセイライティングⅡ」が週2コマずつ計4コマ必須授業となります。そして「エクステンシブリーディング」2コマも開始。最初は当惑していた生徒たちも、7人在籍するALT教師たちの指導で自ら積極的に発言できるようになるそう。「総合英語」の時間では難易度と必要語彙が多い難関私立中高一貫で使用される教科書を使っているのも非常に珍しいかもしれません。
葺合高校のカリキュラムで探究系の授業をこなしておくのは、海外大や国際系学部を目指すにあたって入学後有利ということははっきり言えます。 特にディスカッション中心の授業は論理思考力や批判力を鍛えます。また、英語での資料検索やパワーポイントでの英語資料作成経験などにより、海外大や国際系学部での大学生活がより充実するのは必然といえます。たんに合格だけを目指す学校ではないのです。
コロニアル様式や欧米のカフェ風佇まい♡

葺合高校の特徴のひとつとしてはずせないのが、クラシックな雰囲気の校舎。手塚治虫作『アドルフに告ぐ』でも丁寧に描かれているように、神戸には異人館や居留地のモダン建築ビル群があります。葺合高校の校舎もそれらを意識した「列柱のある回廊」が採用され、煉瓦カラーとなっているんです。

女子憧れのスパニッシュコロニアル様式を取り入れています。

中庭に学食の昼食を持ち込んでもいいんですって♡
海外研修でのスラムでのボランティアや、台湾への修学旅行では現地の高校生と国際交流

上記写真はフィリピン研修旅行の様子。フィリピンのトンド地区では人々はゴミを拾って生計を立てており、累積したゴミが発火して有毒ガスが出て危険なことでも有名。また、そこここにある道路わきにあるたまり水も、ネズミのふんからレプトピスラ感染の可能性があり、解決すべき課題です。

高2の修学旅行は台湾へ。台北と台中へ行き、姉妹校の台中高級中学校の子たちと交流をします。ポスターの写真は旧市街地が残る九份を訪れた時のもの。エキゾチックなのにどこか懐かしいという感想だったそう。英語が得意でも欧米志向に偏るのではなく、身近なアジアな国との交流も積極的に行っています。
格安の姉妹校研修
毎夏高1、高2の希望者はオーストラリアの姉妹校での海外研修へ。3週間で20万弱と驚きの費用です。民営企業だと100万は超えるはずです。さらに、「イオンワンパーセントクラブ」の国際交流無料プログラムで10名が訪中しました。
文部省の高校生・大学生向け留学奨学金カリキュラム「トビタテJAPAN」にも生徒が選抜されています。エッセイや探究計画などの提出書類作成から先生がアドバイスをくれます。昨年度は韓国コスメ研究の計画で渡航した子がいたそう。また、神戸市の海外交換カリキュラムも選抜される生徒が毎年います。
ディベート大会常連校

全国スピーチコンテストの常連校であり、国際ディベート大会や、チャーチル杯争奪全国高等学校英語弁論大会などに参加しています。兵庫県スピーチコンテストは3連覇、兵庫県高校生英語ディベートコンテストは4連覇中。
日本人としての軸

英語が話せても、しっかり日本文化を知らないと「見た目が日本人だけど中身欧米人」となってしまいます。なので、葺合高等学校は日本文化を学べる工夫をいろいろとしています。

茶道部に所属すれば、ワビサビや禅関係の質問にも動じず、和装も可能に。

柔道の父、日本の体育の父といわれた嘉納治五郎は神戸出身。柔道場もきちんとあります♪

宮本武蔵やその著書『五輪の書』も海外では有名なので、剣道をしていると話がはずみます。
DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術で社会問題を解決すること)加速化推進事業採択校
.jpg)
葺合高校は神戸市のDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術で社会問題を解決すること)加速化推進事業採択校に二期連続選ばれています。3Dプリンターやレーザーカッター、ドローンなどを使った授業をしているそう。左下写真の教室では真ん中の空きスペースで各自自分のドローンを飛ばす予定。右上はプロジェクションマッピングの講義。右下のアクアポニックスは、魚の排出物が植物の肥料となる完全循環型のエコシステムです。
葺合高校の海外交流ノウハウなどはどう保持しているのですか

もちろん、新任の先生には丁寧にノウハウを伝えます。さらに神戸市内の市立高校は5校なので、再赴任も多いです。
ただ、先日葺合高校英語科主任の経験もあり、教育委員会にも在籍していていずれはまたこちらへ赴任するかと思われていた経験豊かな先生をあの『灘校』が三顧の礼で引き抜いていてしまいました。共通テストや国立二次試験に思考・探究要素やリスニング要素が強まり、受験英語だけをする限界を見たのでしょうか。英語での探究授業やディスカッションを大切にしていく流れが強まり、日本の大学受験全体の潮目が葺合高等学校のやっていたほうへと近づいているのかもしれません。




.jpg&w=3840&q=75)
.jpg&w=3840&q=75)

.jpg&w=3840&q=75)




.png&w=828&q=75)



