2026年も深まり、推薦入試本番も近づいてきました。
「未来図」編集部では、今年も合格速報や合格者インタビューを行ってまいります。

ただ、いまは合格者の声よりも、むしろ準備に追われながら不安と闘っている方の方が多いはず。
そこで、現役で東京大学学校推薦型選抜(東大推薦)に合格された方へ、どんな受験生だったのか赤裸々に聞いていきます!

今回お話を伺うのは、東大教養学部へ推薦合格された塩田奈美さん(仮名)。なんと、彼女は出願段階でほぼ東大一本でありつつ、一般入試もしない前提で戦いに挑んだといいます。ネットにも情報が少ない「東大推薦」をどのように切り抜けたのでしょうか。

準備と対策に追われた夏

__塩田さんは、文化人類学とエジプトへの愛を語って入学されたんですよね。

塩田:そうです。高校で出会った留学プログラムをきっかけに、エジプトを訪れました。
そこで、それまでの自分とは全く価値観が異なる人々と出会ったのですが、帰国後も「どうして彼らはそのように感じるのだろう?」と考え続けていたんです。

そこで、色々な本を読み漁っているうちに、私の考えていることが「文化人類学」と呼ばれる学問の一部に触れていると知りました。
そこから、それを学べる大学をリストアップしていって、東京大学志望になったんです。

__東大推薦を本格的に考えたのはいつでしたか?

塩田:高3の夏くらいでした。春先に友達の先輩に東大生がいて、その方から「東大にも推薦入試があるんだよ」と教えていただいたんです。
ただ、本格的に東大行こうって決めるまでは、ちょっと間が空きましたね。

__入試準備のスケジュールを教えてください。

塩田:東大推薦の準備を始めたのは9月頃でした。東大は、他大学より出願締め切りが遅く、毎年11月の頭くらいなんです。

__結構遅いですね! そうなると、夏休みはじっくり準備ですか?

塩田:いえ、夏の間は併願していた他大学の推薦入試準備に追われていて、ほとんど東大対策はできませんでした。
一応、自分がやってきたことや動機をまとめなおすことで、一部対策になったかもしれませんが……。

画像はイメージです。生成AIを使用しています。

前情報なしでも挑めたワケ

__「東大推薦」は、ほぼ受験情報が出回らないことで有名ですが、塩田さんはどこで情報を手に入れたのでしょうか?

塩田:それが、私もほとんど前情報なしで挑みました。
ネットで調べても、「東大推薦」の体験記ならともかく、学部や学科まで絞るとほぼ出てきません。

大学が出している小論文の過去問はありますが、それも著作権の都合で一部非掲載だったりします。

結局、あまり情報収集にこだわりすぎてもよくないなと割り切って、自分の志望動機や二次試験対策を頑張るようにしました。
自分の過去を振り返って、「なぜそれが好きなのか?」について、一人で考えたり、先生などと話し合ったりしながら、どんどん深めていくんです。

大変でしたが、とても楽しくて気が付いたら時間が過ぎていました。

__志望理由書の構成を教えてください。

塩田:東大教養学部の志望理由書は3つの質問で構成され、一つ当たり1000文字以内で回答します。

質問は「東大を選んだ理由」「高校時代の活動内容」「自己の将来像」について。
ただ、これでは「大学で何をしたい」が抜けそうだったので、「東大を選んだ理由」と「将来像」のところに「こうやって学びたい」を入れ込みました。

小論文と面接の対策法

__東大教養学部の二次試験は、小論文と面接がありますね。小論文対策はどうされましたか?

塩田:母校では、高3から小論文の授業が展開されているので、これを利用しました。
東大の過去問を使って演習し始めたのは、高3の11月頃。それまでは、併願校の対策が忙しかったので……。

とはいえ、小論の授業とか他大学の対策とかは、間接的に役立ちました。
実際、入試本番で出た課題文の内容が、むかしどこかの大学の過去問で見た文章と同じトピックだったんです。おかげで、スルスル理解できて思考に時間を割けました。

__なるほど。では、面接はどうでしたか?

塩田:高校の先生に見てもらっていました。
東大推薦の面接は12月の中旬にありますが、私が対策を始めたのは12月頭くらい。3回やってもらいました。

__ちょっとギリギリ過ぎる気もしますが、面接は自信ありでしたか?

英語でディベートをやっていたこともあり、しゃべること自体に抵抗はありませんでした。
でも、「自分よりも知識がある知らない大人数名の前で話す」ってこと自体が、すでにそこそこプレッシャーなわけで。

私は対策してよかったと思います。おかげで、入試本番でも、6名の面接官に物怖じせず立ち向かっていけましたから。

画像はイメージです。生成AIを使用しています。

仮に練習せず、緊張にのまれてしまい、ただ暗記したものを垂れ流すだけしかできなければ、突破できなかったかもしれません。

勝負を分けるのはメンタル

__想定質問は作りましたか?

塩田:作りましたが、想定質問表を作ればいいってわけでもありません。

そもそも、想定が当たる保証はどこにもないですし、仮に的中しても、全く想像もしていないタイミングで飛んでくるかもしれないからです。

実際に、私は「あなたが事前提出してくれた論文ですけれど、これと似たような事例は日本にあるんですか?」とあまり調査できていないところを突かれたり、「部活、音楽系なんだね~どんな楽器やってたんですか?」と全く本筋と関係ないような質問をされたりしました。

どんな状況になるかはふたを開けないと分かりませんから、とにかくイレギュラーな状況にも焦らないメンタルを作っていくべきだと思います。

__実際、手ごたえはどうでしたか?

塩田:五分五分でした。小論文は対策範囲だったので自信ありな一方で、面接でいくつか十分に答えられなかった気がしたので。

__現在、合格されて晴れて東大生となられたわけですが、後輩に向けてコメントをお願いいたします。

塩田:最後まで、自分の可能性を信じてほしいです。

推薦入試を目指していると、「自分には何もないかも」「このままで大丈夫かな」と不安になる瞬間がきっとあります。私自身も、何度もそう思いました。

でも、そんなときこそ、周りではなく、自分が「もっと知りたい」と思う気持ちを大切にしてほしい。
受験は、自分が何に心を動かされるのかを見つける時間でもあると思います。

焦らず、自分自身と向き合って、頑張ってください。