志望理由書の書き出しの例
早速、志望理由書の書き出しの例を見ていきましょう。どのようなパターンが一般的で、かつ良い印象を与えられるのでしょうか。
パターン1:自分の将来像から伝える
将来の夢やキャリアプランを最初に明確に示し、その実現の場として大学を位置づける王道の書き出しパターンです。読み手に「この受験生は将来像がはっきりしている」という印象を与えやすく、論理的に展開しやすいのが特徴。
基本の構成は、「私は将来〇〇になりたいです。そのために、貴学の△△で⬜︎⬜︎を学ぶ必要があります」という流れです。将来像→必要な学び→大学で実現できること、という順番を意識すると、自然でかつ説得力のある文章になります。
ここで大切なのは、将来像をできる限り具体的に書くこと。
「立派な社会人になりたい」「人の役に立ちたい」といった抽象的な表現ではなく、「発達特性のある子どもを支援する特別支援学校教員になりたい」「被災地の復興を支える建築士になりたい」など、職種や分野まで踏み込んで示しましょう。
具体的であるほど、志望理由全体に一貫性が生まれやすいです。
例文
私は将来、発達特性のある子ども一人ひとりに寄り添い、その可能性を引き出せる特別支援学校教員になりたいと考えています。そのためには、教育心理学や特別支援教育の専門的知識に加え、現場での実践的な学びが必要です。貴学教育学部で理論と実習の両面から学びを深め、専門性を高めたいと考え、志望いたしました。
パターン2:問題提起から入る
現代社会が抱える課題や自身の問題意識を最初に提示し、その解決策を探求する場として大学を位置づけるパターン。社会全体のテーマから書き始めることで、視野の広さや問題意識の高さをアピールできます。社会科学系や理系の実学に寄った学部で特に有効です。
基本の構成は、「現代の社会には〇〇という課題があります。私はこの課題を解決したく、貴学の△△で⬜︎⬜︎を研究したいです。」という流れ。問題提起→解決したいという意思→大学での学び、という順で展開します。
ポイントは、提示する問題が自分ごとになっているかどうか。ニュースや書籍で知った課題を書くだけでは、表面的な印象になりがちです。自身の体験や身近な出来事を通して抱いた問題意識であることが伝わると、文章に説得力が生まれます。また、「なぜその問題を解決したいのか」「なぜその解決策をこの大学で学べるのか」というつながりを明確にすることも大切です。
例文
現代の学校現場では、不登校の児童生徒が増加し、十分な支援が行き届いていないという課題があります。私自身、中学時代に友人が不登校になり、周囲がどのように支えればよいか分からず悩んだ経験から、この問題を解決できる教員になりたいと強く思うようになりました。貴学教育学部で教育心理学や教育社会学、生徒指導について専門的に学び、不登校支援のあり方を研究したいと考え、志望いたしました。
パターン3:実体験から伝える
自身の具体的な経験(原体験)をきっかけに、そこから生まれた学びへの意欲を伝えるパターンです。自分ならではのエピソードを起点にできるため、独自性を出しやすく、読み手の共感を得やすいのが特徴。
基本の構成は、「私は〇〇という経験から△△の重要性を学びました。この探究心をさらに深めるため、貴学の⬜︎⬜︎で学びたいと考えております。」という流れです。経験→学んだこと・気づき→大学での学び、という順でまとめます。
ポイントは、書き出しでエピソードを長々と語りすぎないこと。「〇〇という経験から」と簡潔に触れ、具体的な状況や感情の変化は本文で詳しく展開します。また、その経験から「何を学んだのか」「どのように考えが変わったのか」「なぜ教育学を志望するに至ったのか」という思考のプロセスを明確に示すことも重要です。単なる思い出話で終わらせず、学問への動機につなげましょう。
例文
私は、学習につまずき自信を失っていたクラスメイトの勉強を放課後に手伝った経験から、一人ひとりに合った指導の重要性を学びました。この経験を通して教育のあり方に強い関心を抱くようになり、個々の特性に応じた支援方法を専門的に学びたいと考えました。貴学教育学部で教育心理学や指導法について体系的に学び、実践力を高めたいと考え、志望いたしました。
志望理由書でやりがちな書き出しのNG例
さて、反対にやってはいけないパターンには、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、3パターンのNG例について説明していきます。
具体性に欠ける書き出し
志望理由書でよく見られるのが、抽象的な表現ばかりで構成された書き出しです。一見すると前向きで立派に見えますが、内容がどの大学にも当てはまってしまうため、評価にはつながりにくくなります。
NG例文
私は、貴学で幅広い教養を身につけ、グローバルに活躍できる人材になりたいと思い、志望いたしました。
問題点
この文章の問題点は、「なぜこの大学なのか」がまったく伝わらないこと。「幅広い教養」や「グローバルに活躍できる人材」という言葉は抽象的で、具体的に何を学びたいのか、将来どのような教員になりたいのかが見えてきません。どの大学にもどの学部にも当てはまる内容になっており、志望動機としての説得力に欠けます。
改善例
私は、外国にルーツをもつ子どもたちが安心して学べる環境を整えられる小学校教員になりたいと考えています。そのために、多文化共生教育や日本語指導法について専門的に学ぶ必要があると感じました。貴学教育学部で多文化教育に関する実践的なカリキュラムのもとで学び、現場で生かせる指導力を身につけたいと考え、志望いたしました。
パンフレットの言葉をそのまま写した書き出し
大学の理念や教育方針に触れること自体は悪いことではありません。しかし、パンフレットや公式サイトの言葉をそのまま引用しただけの書き出しは、志望理由書としては評価されにくい傾向があります。
NG例文
「知の探究と社会への貢献」を理念に掲げる貴学の教育学部に深く共感し、私もその一員になりたいと強く思いました。
問題点
この文章の問題は、自分の言葉になっていない点。理念をコピペしているだけで、「なぜ共感したのか」「どの部分に心を動かされたのか」「自分のどの経験と結びついているのか」が示されていません。そのため、本気度や主体性が伝わりにくくなっています。志望理由書では、理念への共感を「自分の体験や将来像」と結びつけて語ることが重要です。
改善例
私は、中学時代に地域の学習支援ボランティアに参加した経験から、学びを社会に還元することの大切さを実感しました。貴学が掲げる「知の探究と社会への貢献」という理念は、まさに私が教育を通して実現したい姿と重なるものです。貴学教育学部で理論と実践の両面から学び、地域社会に貢献できる教員へと成長したいと考え、志望いたしました。
結論や言いたいことが分からない書き出し
志望理由書で意外と多いのが、話の出発点が志望動機になっていないケース。自分の経験から書き始めること自体は問題ありませんが、「なぜその大学を志望するのか」という結論が見えないと、読み手は戸惑ってしまいます。
NG例文
私が高校生活で最も力を入れたのは部活動です。毎日練習に励み、仲間と協力することの大切さを学びました。この経験を大学でも活かしたいです。
問題点
この文章は自己PRとしては成立していますが、志望理由にはなっていません。読み手は「その経験とこの学部への志望動機はどう関係するのか」「なぜ本学なのか」と疑問に感じてしまいます。志望理由書の書き出しでは、できるだけ早い段階で「志望の方向性」を示すことが大切です。
改善例
私は高校の部活動で後輩の指導を担当した経験から、人に教えることの難しさとやりがいを実感しました。この経験を通して、指導方法や学習支援のあり方について専門的に学びたいと考えるようになりました。貴学教育学部で教育心理学や指導法を体系的に学び、実践力を身につけたいと考え、志望いたしました。
志望理由書の書き出しが重要な理由
なぜ志望理由書は書き出しが重要なのでしょうか。
志望理由書の書き出しは、読み手が最初に目にする部分。文章全体の印象を大きく左右します。魅力的で明確な書き出しは、「この先も読みたい」と思わせる力があるのです。
また、冒頭でこれから何について語るのかを示すことで、読み手は内容をスムーズに理解できます。簡潔かつ具体的な書き出しは、入学への強い意欲と自分の考えを分かりやすく伝える力のアピールにもなるでしょう。
入試担当者は多くの志望理由書を読むため、ありきたりな表現では印象に残りません。独自性と具体性のある書き出しが重要となります。
志望理由書の書き出しで押さえるべき3つのポイント
では、書き始めるにあたって、書き出しで押さえるべきポイントはなんでしょうか。ここでは、3つのポイントを説明します。
1.結論を簡潔に記載する
志望理由書の書き出しでは、文章構成の基本である「PREP法(Point - Reason - Example - Point)」の最初の「P(Point)」を意識することが大切です。まず結論を提示することで、読み手に「何についての文章なのか」を明確に伝えられます。
具体的には、「私が貴学を志望する理由は〜です」という形で、志望動機の核心を最初に示しましょう。回りくどい前置きから入るのではなく、結論を先に述べることで、論理的で分かりやすくなります。
なぜその大学・学部で学びたいのか、そしてその先にどのような目標を見据えているのか。文章全体の結論に当たる内容を1〜2文で簡潔に示すことが、説得力のある書き出しにつながるのです。
2.リサーチに基づく具体的なキーワードを盛り込む
志望理由書の書き出しには、大学・学部の特徴を的確に捉えた具体的なキーワードを盛り込みましょう。しっかりとリサーチしていることが伝わり、「本気で志望している」という姿勢のアピールになります。
例えば、大学の理念や教育目標、特徴的なカリキュラム名、力を入れている研究分野、特定の教授の専門領域。こうした情報を具体的に示すことで、「この大学だからこそ志望している」ことが明確になるのです。
「充実した教育環境」「特色ある学び」といった抽象的な言葉だけで終わらせず、その大学ならではの固有名詞を入れることがポイント。さらにはそれを自分の体験や将来像と結びつけることも大切です。
3.自分がやりたいことと大学でできることを結びつける
書き出しでは、自分の将来の目標(やりたいこと)と、大学が提供する学びの機会(できること)が明確に結びついていることを示しましょう。どちらか一方だけを述べるのではなく、「目標」と「学べる内容」をセットで提示することが重要です。
構成としては、「(自分の目標)を実現するために、(貴学の〇〇という環境)で学びたい」という形を意識すると、自然に結びつけることができます。自分の思いと大学の特色が一直線につながっていることを、冒頭の時点で示しましょう。
この結びつきが明確であればあるほど、数ある大学の中から「なぜこの大学を選んだのか」という理由を、説得力をもって伝えることができます。書き出しの段階で必然性を示すことが、評価につながるポイントです。
志望理由書の書き出しでよくある質問
志望理由書の書き出しについては、「無難な表現でも良いのか」「どこまで個性を出すべきか」など、多くの受験生が悩みを抱えていることでしょう。ここでは、書き出しに関して特に寄せられる質問とその考え方を解説します。
「貴学の〇〇という点に魅力を感じました」という書き出しは普通すぎますか?
その書き出し自体に問題はありません。ただし、「魅力を感じました」だけで終わってしまうと、平凡で印象に残りにくい文章になる可能性があります。
大切なのは、「なぜ」魅力に感じたのかを具体的に示すこと。さらに、その魅力が「自分の将来の目標とどうつながっているのか」まで簡潔に述べられると、ありきたりな印象を払拭できます。
単なる感想で終わらせず、目標との結びつきを示すことで、説得力のある書き出しになるのです。
パンフレットの文章をそのまま書き出しに使ってもいいですか?
そのまま使うのは避けるべきです。確かに大学の理念や紹介文はよく練られた表現ですが、自分の言葉になっていない文章では、熱意や主体性が伝わりにくくなります。
志望理由書で大切なのは、「その大学をどう感じ、なぜそこで学びたいと思ったのか」という自分自身の視点。パンフレットのキーワードや理念は参考にしつつも、それを自分の経験や将来の目標と結びつけ、自分の言葉に置き換えて表現することが重要です。そうすることで、説得力のある書き出しになります。
インパクトを狙って奇抜なエピソードから始めてもいいですか?
基本的には推奨しません。志望理由書はアピールする場ではありますが、奇抜さを優先しすぎると、何が言いたいのか伝わらなかったり、悪目立ちしてしまったりするリスクがあります。
特に書き出しは、読み手に安心して読んでもらうための土台となる部分。強いインパクトを狙うあまり、志望動機が見えにくくなると本末転倒です。
個性は奇抜な演出ではなく、具体的な経験や独自の視点を論理的に述べることで示すべきでしょう。まずは「結論ファースト」という基本に忠実に書くほうが、安全かつ効果的な書き出しになります。
未来図に会員登録して先輩たちの志望理由書を参考にしよう
志望理由書は、書き出しで印象が大きく決まります。だからこそ、最初の一文で「何を学びたいのか」「なぜこの大学なのか」を明確に示すことが重要です。
ポイントは、①結論を簡潔に述べること、②大学の特徴に基づく具体的なキーワードを盛り込むこと、③自分の目標と大学でできることを結びつけることの3つです。これらを意識しながら、自分の将来像・問題意識・実体験など、最も書きやすいパターンを選んで活用しましょう。
とはいえ、実際の志望理由書を読むことが、上達への一番の近道。未来図に会員登録すれば、先輩たちの志望理由書を閲覧でき、書き出しの具体例も数多く参考にできます。ぜひ活用し、自分らしい志望理由書を完成させてください。
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