総合型選抜(AO入試)において志望理由書が重要な理由

総合型選抜では他の受験形態よりも一層慎重に、丁寧に志望理由書を書いていく必要があります。ここではその理由について3つ挙げながら説明していきます。


書類選考の合否の5〜7割を志望理由書が占める

総合型選抜は、受験生の人物像や学習意欲、将来性などを多角的に評価する入試方式です。その中でも「どのような人間なのか」や「何を学びたいのか」を伝える志望理由書は、書類選考の合否の5〜7割を占めるとされ、受験においてとても重要な書類です。

大学側はこの志望理由書を通じ、受験生が自校の教育理念(アドミッション・ポリシー)に合致する人材であるか、そして入学後に十分な成長が見込めるかといった点を見極めることになります。


志望理由書の内容をもとに面接される

志望理由書は提出して終わりではなく、二次選考の面接でも活用されます。面接官は提出された志望理由書の内容に沿って、「なぜそう考えたのですか?」「具体的にどういうことですか?」といった深掘りの質問を投げかけます。そのため、質の高い志望理由書を作成しておくことで、面接を有利に進められる可能性が高くなるのです。


他の提出書類との一貫性もチェックされる

総合型選抜では、志望理由書の他に活動報告書や調査書、ポートフォリオなど複数の書類提出が求められるのが一般的です。大学側はこれらの書類全体を照らし合わせ、そこに描かれている人物像に一貫性があるかどうかをチェックします。例えば、活動報告書でアピールした「探究心」と、志望理由書に記載する「大学で探究したいテーマ」が繋がっているかどうかといった点が確認されます。


志望理由書を書く前にやっておくべきこと

どれだけ文章に自信があったとしても、いきなり志望理由書を書き始めるのは難しい作業になります。ここでは書き始める前に、まず準備しておくべきこと3つを紹介します。

自己分析をする

まず取り組むべきは、部活動や課外活動、学習記録など、これまでの経験を時系列で書き出すことです。その際、それぞれの経験について「なぜそれに取り組んだのか」「どんな困難があり、どう乗り越えたのか」「何を学んだのか」を深く掘り下げましょう。

単なる経験の棚卸しで終わらせず、過去の経験から見えてくる現在の自分の強みや価値観を言語化することが重要です。さらに、それらを今後の目標と結びつけることで、一貫したストーリーへと昇華させましょう。

大学研究をする

大学の公式サイトやパンフレットを熟読し、特に「アドミッション・ポリシー」「カリキュラム」「教員の研究分野・業績」を徹底的に調べましょう。オープンキャンパスやオンライン説明会にも積極的に参加することをおすすめします。

その際のポイントは、他の大学の同系統の学部とも比較しながら、「なぜこの大学でなければならないのか」という問いに答えられるレベルまで研究を深めることです。その大学ならではの魅力を見つけ出し、具体的な授業名や教員名もリストアップしておきましょう。

将来像について深堀りする

「〇〇になりたい」という漠然とした夢から一歩進んで、5年後や10年後にどのような環境で、どのような役割を果たし、社会にどう貢献していたいのかを具体的にイメージしてみましょう。

特に重要なのは、その理想の将来像から逆算する視点を持つことです。「将来像のために大学4年間で身につけるべき知識・スキルは何か」「今の自分に足りないものは何か」を明確にしておくことで、説得力のある志望理由書の土台が整います。

総合型選抜(AO入試)向けの志望理由書の書き方

書く準備が整ったら内容や構成について考えていきます。ここではどんなことを書けばいいのか実際の内容について大きく3つに分けて説明します。

導入・要点

書くべき内容は、志望動機、その学問分野への興味が湧いたきっかけ、将来の目標などを含めた文章全体の結論です。これを冒頭で提示することが求められます。導入は読み手の関心を引く最も重要なパートであるため、結論ファーストを意識し、これから何が語られるのかが明確にわかるよう簡潔にまとめることがポイントです。

志望するようになったきっかけ

ここでは、その学問分野への興味が湧く原点となった具体的な経験を掘り下げて記述しましょう。書き方としては、その経験の中で何を感じ、何を考え、どのように関心が深まっていったのかというプロセスが伝わるよう、ストーリーとして書くことが大切です。

書籍やニュース、授業、部活動など、きっかけとなったエピソードも具体的に盛り込みましょう。単なる出来事の報告に終わらせず、その経験が自分の価値観や目標にどのような影響を与えたのかを明確に結びつけることで、独自性と説得力のある文章になります。

出願を決めた理由・大学の魅力

数ある大学の中からなぜこの大学・学部を選んだのかを、論理的に説明するパートです。「貴学の〜〜というカリキュラムで、〜〜教授の指導のもと〜〜を深く学びたい」というレベルまで具体的に記述し、大学の理念やアドミッション・ポリシーが自身の価値観や目標とどう合致するのかにも触れましょう。

パンフレットの言葉を引用するだけでなく、その大学の魅力が「自分の目標達成にどう不可欠なのか」という視点で自分の言葉で語ることが非常に重要です。


総合型選抜(AO入試)向けの志望理由書の例文

書くべき内容について知ったところで、実際にはどのように書いていけばいいのでしょうか。ここでは各大学に合格した志望理由書について具体的な例文を3つ見てみましょう。

【参考】

中央大学法学部政治学科の志望理由書を読んでみた!


青山学院大学 地球社会共生学部の志望理由書

私はファッションブランドを立ち上げ、日本で暮らすイスラム教徒の女性、ムスリマをはじめとしたマイノリティが共生できるような社会作りに貢献したい。そのため、地球社会共生学科を志望する。

日本ではイスラム教に対する否定感が他の宗教より高いことが調査によりわかっている。そのような中で多くの日本人は、ヒジャブを被っていることで信仰心を明示しているムスリマを自分とは関係のない人、他者として認識してしまっている。実際私も以前は宗教的服装は信仰の象徴であるという印象を持っていた。しかし、ある時、ヒジャブを着ける理由が女性としての尊厳を守るための手段として捉えるムスリマに出会い、つまり宗教的なものを身に着けていることは信仰を直接的に意味するのではなく、より自由な意志で表現することがあると知った。

本来ファッションは自分を表現し相互理解を深めるもののはずなのに、ムスリマの場合はそれに反して誤解やコミュニケーションの断絶を生んでしまう状況が存在する。そこで私は、ファッションが壁を作る原因となっているのならば、逆にファッションを通してその壁を壊すことができるのではないかと考えた。そして宗教的な要素を取り入れたブランドを立ち上げることによって、ムスリマに対する偏見を少しでも減らしたいという志を持った。

貴学は社会、ビジネス、共生をバランスよく学ぶことができるため、この志を達成するには最適な環境である。まず、小原雅教授の宗教社会学の講義で宗教が現代社会や文化においてどのように表現されているかを学び、ファッションに取り入れる方法を模索したい。また、感性ビジネスの講義でブランドにおける価値創造を学びたい。さらに、貴学はアジアに力を入れている点が魅力的である。マレーシアで本場のイスラムファッションを学び、日本にうまく取り入れる方法や表現を追求していきたい。以上の理由から貴学を志望する。

(786文字)


横浜国立大学 都市科学部の志望理由書

環境保全と経済成長を助ける環境コンサルタントになりたいと考えている。高校で環境問題についての研究を行ったことで、自分の行動力と貪欲さを生かしてこの職で世界に貢献したいと考えたからだ。私は水質中の有機ハロゲン化合物を吸着するというテーマで研究を行った。環境問題を調べた際、全国の河川や地下水からPFOSやPFOAなどの有機ハロゲン化合物の濃度が基準値を上回って検出され、自然環境や人体に影響を与えていることを知った。「自分に何かできないか」と探究心が生まれた。そこから、詳しく知るためにPFOSに精通している京都大学の原田浩二先生、東京大学の布浦鉄兵先生にメールをし、現状を伺った。研究段階にある吸着材が多く、一般に使用されているのが活性炭であることを知った。しかし活性炭は製造時にCO2を排出し環境に負荷をかける。

そこで、「環境に負荷をかけずにPFOSを除去できる吸着剤を開発すれば、社会問題の解決に貢献できる」と考えた。本研究では銅を塩化物イオンの孔食作用によって多孔質化することで、吸着後にハロゲンの電気分解に利用でき、再利用可能な吸着材を開発できた。しかし、銅を水中の物質に対しての吸着に用いることは、金属イオンが流出してしまう恐れやコストパフォーマンスの面から問題があり、今はその対策について研究している。この研究を通して、テフロン加工や泡消火剤の最先端の技術、製品開発にはリスクが伴うことを学べた。また、画期的な新技術に気を取られ、環境汚染についての配慮不足に陥ることで、環境汚染は汚染源が特定できなくなることを理解した。これらの経験から、新規事業開発の際に、専門的な知識や幅広い知見を活かし、積極的に行動し、貪欲に経済的な豊かさと自然の豊かさの両立を成立させる環境コンサルタントに就きたいと強く感じた。

しかし、環境コンサルタントになるには、浄化に対する正しい知識、評価技術を開発することなど、幅広い分野の知見を得る必要がある。貴学の環境安全科学研究室の小林剛教授は有害物質の汚染状況評価技術を研究していて、評価を論究することで、現状分析や対処について深め、有害物質の研究ができると強く感じた。さらに、貴学の都市科学部は文理を融合しており、環境科学について深め、国内外の倫理規則や経済学などの社会的に繋がる学問も広げたいと考えている。貴学で、世界に起こっている環境問題の正しい現状と原因、そして評価について研究し、解決方法を探りたいと考えた。上記より、自分の行動力、貪欲さを生かし環境課題について模索しながら、人間が科学とどう共存していくことがより良いものなのか深めたいと思い、貴学を志望する。

(1102文字)


早稲田大学 社会科学部の志望理由書

私は、生理に対するタブーや偏見を解消し、すべての人が自分らしく活躍できる社会を目指すために、早稲田大学社会科学部に進学したい。貴学はダイバーシティ推進室やGSセンターを有し、女性の健康推進やマイノリティの視点から社会問題に取り組む姿勢に興味を惹かれた。また、刻々と変化する現代社会を取り巻く、政治・経済学を通じて、独自性の高い貴学部のカリキュラムを活用していきたい。高校3年間在籍した英語ディベートの活動では、ディベートリーダーとしての責任を果たし、市内1位と県内3位という結果を残した。その活動の中でも特に印象に残ったのは、生理に関する議題が挙げられた際、誤解や偏見が、特に男性参加者の間で見受けられたことだ。私は女性にとっての日常的なことが、立場が変わると認識に差があることに問題意識を抱き、【組織名非公開】と協力して生理に関する意見交換会を開催し、文化祭ではインタビュー動画を上映するなど、生理に関するオープンな環境作りを目指して活動してきた。

この活動から、生理は未だ「個人の責任」として片付けられてしまっているということを学んだ。「血穢」や「チャウパディ」などの歴史的原因をはじめとする社会的風習の中で、生理を「不浄なもの」として扱い「隠す」という負のステレオタイプが現代でも未だ根強いことにある。私はこのような生理に関する社会の差別的風潮を多角的に捉え、問題の本質に迫りたいと考えている。貴学部は、社会科学の学問分野と様々な問題群を融合させて学ぶことができる環境が整っており、この自由度の高い学際的な学びを活かして、「生理のタブー視」を表面的な分析だけでなく、その背景にある歴史的、文化的、社会的背景要因を理解していきたい。また、2年次からはゼミを通して、国際的な視点を取り入れた幅広い研究を進めながら解決に向けた取り組みを行っていく所存である。

(778文字)

総合型選抜(AO入試)向けの志望理由書のNG例

ここまでは志望理由書に書くべき内容について見てきましたが、ここでは逆に「書くべきではない」内容について、NGとなる例文、なぜNGなのか、改善ポイントに分けて説明します。

全体的に一貫性がない

NG例文:

導入で「地域活性化に貢献したい」と述べたのに、「卒業後は、貴学で学んだ語学力を活かし、海外で活躍できるビジネスパーソンになりたいです。」と記載してしまっているパターン。

なぜNGか:

書き出しで示した目標と締めで語る将来像が全く異なり、論理が破綻してしまっています。これでは軸が定まっていないため、志望動機そのものの信憑性が疑われる可能性もあります。

改善ポイント:

 自己分析を再度行い、「自分が本当にやりたいことは何か」を一つに絞るべきです。それを軸に、過去(きっかけ)・現在(大学での学び)・未来(将来像)が一貫したストーリーになるように構成し直すことも大切です。

どの大学にも当てはまる志望理由が書かれている

NG例文:

「貴学の『国際社会に貢献する人材の育成』という教育理念に深く共感しました。私も、充実したカリキュラムのもとで幅広い教養を身につけ、社会に貢献したいです。」

なぜNGか:

大学のウェブサイトから抜き出したような抽象的な言葉だけで構成されており、「なぜこの大学でなければならないのか」が全く伝わりません。熱意や本気度が低いと判断されかねない内容になってしまっています。

改善ポイント: 

大学研究をやり直し、その大学ならではの具体的な魅力(授業名、教員名、研究内容、独自のプログラムなど)を見つけることが必要です。その具体的な魅力と自分の目標を明確に結びつけ、貴学でなければならない理由を自分の言葉で語りましょう。

過去の功績が羅列されただけの内容になっている

NG例文:

「私は高校時代、生徒会長を務め、文化祭を成功に導きました。また、英語弁論大会で県大会に出場し、ボランティア活動にも3年間参加しました。」

なぜNGか:

これは「活動報告書」であり、「志望理由書」ではない。実績を並べるだけでは、その経験から何を学び、どう成長し、それが大学での学びにどう繋がるのかが全く分からなくなってしまっています。

改善ポイント:

 それぞれの実績について、「なぜ取り組んだのか」「何を考え、どう行動したのか」「その結果、何を学んだのか」というプロセスを深掘りすべきです。そして、その学びが「大学で探究したいテーマにどう繋がったのか」を丁寧に記述する必要があります。

総合型選抜(AO入試)向けの志望理由書を書き上げたときにチェックすべきポイント

時間をかけて書き上げる志望理由書だからこそ、些細なケアレスミスはもったいないものです。ここでは書き上げた後に注目して見直すべきポイントについて4つ紹介します。


誤字・脱字がないか

PCの校正機能に頼るだけでなく、原稿を音読することをおすすめします。声に出して読むことで、黙読では気づかないミスや不自然な言い回しを発見しやすくなります。誤字脱字は初歩的なミスにも気づかない・見直していないと判断されるだけでなく、志望度が低いという印象も与えかねません。完璧な状態で提出することを心がけましょう。


文末表現が統一されているか

文章全体を読み通し、「です・ます調」と「だ・である調」が混在していないかを確認しましょう。特に指定がなければ、丁寧な印象を与える「です・ます調」に統一するのが一般的です。文末表現の不統一は稚拙で読みにくいという印象を与え、基本的な文章作成能力を疑われることにも繋がりかねないため、細部まで丁寧に確認することが大切です。


指定文字数の9割は書けているか

ワードカウント機能などを使い、指定された文字数に対して実際に書いた文字数の割合を確認しましょう。文字数が大幅に少ない場合は内容が薄いと判断される可能性があります。

なるべく指定文字数の9割は埋めることを意識し、足りない場合は自己分析や大学研究の段階に戻って内容を膨らませましょう。ただし、同じ内容を繰り返すような冗長な文章にならないよう注意が必要です。



固有名詞が間違っていないか

大学の公式サイトや募集要項を再度開き、大学名、学部・学科名、教授の名前、授業名、プログラム名などに間違いがないか一字一句確認しましょう。特に教授の名前を間違えることは大変失礼にあたり、大学研究が不十分であると見なされます。正しい名称とよく見比べて、確実に確認することが重要です。


総合型選抜(AO入試)の志望理由書についてよくある質問

ここでは総合型選抜の志望理由書を書く際に、多くの受験生が共通して疑問に思いやすい事柄についてまとめています。より良い志望理由書にするために参考にしてください。

志望理由書はいつまでに仕上げるべき?

回答:理想は出願締切の1ヶ月前には完成した状態であることです。

良い志望理由書は一度で書き上げられるものではなく、先生や講師など第三者からの客観的なフィードバックを受けて何度も書き直す時間が必要です。直前期に焦らないためにも、余裕を持ったスケジュールを組むことを強くおすすめします。

志望理由書のNGワードは?

回答:具体的に使用を避けた方がいい言葉として

  • 正直に言うと
  • 実は
  • 多分
  • おそらく
  • すごい
  • やばい
  • 絶対に

などが挙げられます。

こうした表現があると文章全体の質が下がってしまうほか、書いた受験生の知性を疑われる可能性もあります。志望理由書は公式な文書であるため、それにふさわしい言葉遣いを常に意識することが大切です。

志望理由書は添削してもらうべき?

回答:志望理由書は必ず第三者に添削してもらいましょう。

できれば、学校の先生や塾の講師など、指導経験の豊富な方にお願いするのが理想的です。自分では完璧だと思っていても、客観的に見ると論理の飛躍があったり意図が伝わりにくい表現を使っていたりするものです。

自分では気づけない誤字・脱字や改善点が見つかることも多いため、第三者の目を必ず通すようにしましょう。

未来図に登録すれば先輩たちの志望理由書を参考にできる!

本記事ではここまで総合型選抜の志望理由書について説明してきました。本記事で扱った志望理由書の重要性、書く前の準備、構成、内容、例文、NG、チェックすべきことについて頭の中に入れておけば必ず、合格する志望理由書の作成に役立つはずです。

特に今回紹介したような志望理由書の例文のほか、自分の志望大学、志望学部に実際に合格した先輩たちの志望理由書を見ることが大きなヒントになります。自分の文章と比較することで、良い部分を取り入れたり、足りない部分が確認できるからです。

未来図に会員登録すると、さまざまな大学・学部に合格した先輩たちのリアルな志望理由書を閲覧することができます。ぜひ登録して、自分だけの志望理由書作りに役立ててください。