1.27年度、どれくらいの大学・学部が新しくなるの?

2027年度(令和9年度)は、大学入試における「新設ラッシュ」の年になりそうです。河合塾や駿台が公表している最新情報(2026年2月時点)によると、その規模はかなり大きなものになっています。

まず大学の新設については、私立大学3校が2027年度の開設を目指して認可申請を進めています。太田医療科学大学(群馬県太田市)、中央医療大学(神奈川県横須賀市)、博多大学(福岡県福岡市)の3校で、いずれも医療・健康・データサイエンス分野に特化した実践型大学です。

次に既存大学における学部・学科の新設・改組については、国立大学2校、公立大学3校、私立大学は約30校にのぼります。合計すると、新たに誕生する(または大きく姿を変える)学部・学科は40件以上にもなります。

少子化が続くなかでも、これだけ多くの新設・改組が行われるのはなぜでしょうか。背景には、AI・データサイエンス・半導体・環境・スポーツといった社会の変化に対応した学問領域への強いニーズがあります。時代が求める人材を育てるべく、各大学が積極的に動いている様子がうかがえます。

2.27年度 新設・改組の主な大学・学部一覧

◆ 国公立大学

大学

学部・課程

入学定員

備考

東京大学

UTokyo College of Design(CoD)

100名

2027年9月開設・秋入学、全授業英語

福島大学

教育学部(学校教育教員養成課程)

235名

人文社会学群を改組

福島大学

政経学部(政経学科)

400名

人文社会学群を改組

北九州市立大学

情報イノベーション学部

118名

情報エンジニアリング学科68名+共創社会システム学科50名

福山市立大学

情報工学部

80名

デジタルものづくり・サイバーセキュリティの2学科

熊本県立大学

半導体学部(仮称)

60名

国内初の半導体学部・2027年4月開設予定

◆ 私立大学(主要抜粋)

大学

学部・学環

入学定員

備考

青山学院大学

統計データサイエンス学環(仮称)

60名

青山キャンパス初の理系学士課程

上智大学

理工学部 デジタルグリーンテクノロジー学科

50名

うち約半数は留学生予定

中央大学

スポーツ情報学部(仮称)

295名

多摩キャンパス・文理横断型

東洋大学

環境イノベーション学部(仮称)

140名

川越キャンパス

日本女子大学

経済学部

99名

女子大初の経済学部のひとつ

龍谷大学

環境サステナビリティ学部(仮称)

130名

瀬田キャンパス

龍谷大学

情報学部(仮称)

130名

瀬田キャンパス

東北学院大学

未来探求科学学部 デジタル構想学科

110名

—

東北学院大学

教育学部

100名

—

広島修道大学

農学部

260名

食農科学・生物科学・環境の3学科

京都女子大学

食科学部(仮称)

—

食マネジメント・食物栄養の2学科

このほかにも、北海道・東北から九州まで全国の大学で学部・学科の新設や改組が相次いでいます。また、大学名称の変更も複数あり、仙台白百合女子大学→仙台白百合大学(男女共学化)、広島女学院大学→YIC学院大学(男女共学化)なども注目点です。

3.編集部が注目するのはここだ!

この中から、未来図編集部が注目する新設学部を3つピックアップしてご紹介します!

● 東京大学「UTokyo College of Design(CoD)」

東大が学部を新設するのは、1958年の教養学部以来、実に約69年ぶりのことです。それだけで大きなニュースですが、中身がまた従来の東大像を大きく覆します。

「UTokyo College of Design(CoD)」は2027年9月に秋入学でスタートします。授業はすべて英語で実施され、世界中から学生を集めることを想定しています。学士・修士を合わせた5年一貫プログラム(一部6年とも表記)で、入学定員は100名(Route A・Route B各50名)。気候変動や高齢化社会といった複雑な社会課題を「デザイン」の力で解決できるイノベーターの育成を目指します。

入試方式も革新的です。Route Aは大学入学共通テストを活用する国内生向けのルートで、共通テスト8割超が目安とされています。Route Bは東大が指定する統一試験(SATやIBなど国際試験)を活用するルートで、海外在住者は渡日不要でオンライン面接に対応するとしています。従来の東大入試とは一切の併願ができないという点も、独立した新しい学部としての強い意志を感じさせます。

既存のPEAKプログラム(英語で学ぶ教養学部コース)の募集を停止してCoDに一本化する方向性も示されており、東大の「グローバル人材育成への本気度」がうかがえます。志望する受験生はとくに英語力の強化が急務です。

→ 公式サイト:UTokyo College of Design

● 熊本県立大学「半導体学部(仮称)」

TSMCの熊本工場進出が象徴するように、半導体産業は今や日本の経済・安全保障の要です。そんな時代の要請に真っ向から応える学部が、熊本県立大学に誕生します。日本で初めて「半導体」を冠した学部として、大きな注目を集めています。

2027年4月の開設を目指しており、入学定員は60名。教員は16名体制でスタートします。学びの内容は「AI・応用情報」「マイクロエレクトロニクス」「スマートマテリアル」の3つの履修モデルに整理されており、AIチップから電子回路、半導体材料・製造プロセスまでを体系的に学べます。学士号の名称は「学士(半導体学)」という、これまでにない新しい称号です。

キャンパスは月出キャンパス内に新施設(学部棟)を整備予定ですが、開設から2年間(2027・2028年度)は既存施設を活用し、2029年度から全学年が新施設に移行する計画です。TSMC熊本工場のほか、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、東京エレクトロンなど半導体関連企業が集積する熊本の地で、産学連携による実践的な教育が期待されます。

→ 公式サイト:熊本県立大学 半導体学部特設サイト

● 青山学院大学「統計データサイエンス学環(仮称)」

「なぜ今さら、という時代ではなく、今こそ統計学が必要」——青山学院大学がこう宣言して開設を目指すのが、2027年4月に誕生予定の統計データサイエンス学環です。

定員60名という少人数制で、青山キャンパスに設置される初の理系学士課程という点が特徴的です。「学部」ではなく「学環」(学部等連係課程)という形式を採用しており、既存の文理複数の学部が連携して教育にあたります。近年乱立気味のデータサイエンス系学部とは一線を画し、統計学の基礎を徹底的に身につけることで現場の問題を解ける人材を育てることを目指しています。IT企業との連携や実データを使った演習も予定されており、就職後に即戦力となるカリキュラム設計に期待が集まります。渋谷という立地を生かしたIT企業との産学連携も注目点のひとつです。

→ 公式サイト:青山学院大学「統計データサイエンス学環」

4.まとめ

2027年度は、大学という場所が社会の変化に素早く対応しようとしている姿を、はっきりと見せてくれる年になりそうです。AI・データサイエンス・半導体・環境・スポーツ……キーワードを並べるだけで、現代の社会課題がそのまま学部名になっているようです。

なかでも東大のCoDは、「日本最難関」と言われてきた東大の入試制度そのものを変える可能性を秘めており、高校生・受験生への影響は計り知れません。また、熊本県立大学の半導体学部は地方国立大学ならではの産学連携モデルとして、今後の大学教育のあり方を示すものになるかもしれません。

受験生のみなさんには、「どの学部が新しくできるか」を追いかけるだけでなく、「なぜその学部が今できるのか」という時代の文脈を一緒に読み解くことをお勧めします。大学選びの視野が、きっと広がるはずです。

※本記事の情報は2026年2月時点のものです。記載の学部・学科はいずれも仮称・構想中・認可申請中のものを含み、今後変更になる可能性があります。実際の出願に際しては、各大学が公表する最新の「学生募集要項」を必ずご確認ください。

主な参照情報