「サンフランシスコで過ごした大学寮では、建物が古いせいか夜中の2時に火災報知機が鳴って全員が叩き起こされ、外に避難…なんてことがしょっちゅうで(笑)。
ほかにも、地下にある共用キッチンのシンクが、なぜか入居して1ヶ月ぐらいで全部詰まってしまって...『これは料理できない、困った』という事態があったりもしました」
この聞いただけでも迷惑な話、いったいどこの大学かお分かりになるだろうか?実は日本でも有名な”あの大学”なのだが...
正解は、世界7都市を舞台に学ぶミネルバ大学。その合格率はわずか1〜2%と「世界最難関大学」とも称される。そんなミネルバ大学のリアルな学生生活は想像よりもシビアなようだ。
今回インタビューにお答えいただいたのは、山口笑愛さん(18)。今回は山口さんに、ミネルバ大学のリアルな学生生活をインタビューした。
過去問なし!創造性で勝負する謎入試
落合: ミネルバ大学といえば合格率1〜2%とも言われる超難関校です。受験にあたって特別な対策や準備はされたのでしょうか?
山口: 正直に言うと、ミネルバ大学専用の受験対策はほとんどしていません(笑)。というのもミネルバの入試ってすごく特殊で、過去問もなく対策のしようがない部分が大きかったんです。それより私は日本の大学用の勉強に力を入れていて、例えばTOEFLの勉強を通じて英単語を覚えたりエッセイの書き方を練習したりしていました。
結果的に、その中で培った英語力や文章力がミネルバの出願エッセイを書く際に役立ったと思います。ただ、ミネルバ入試には筆記試験はなくて、代わりに創造性や思考力を見るテストがいくつか課されました。例えばIQテストのような問題が出て、画面に4つの図形が表示され「その中で1つだけ仲間外れのものを選びなさい」という問題があったり、ランダムな単語が提示され「それとできるだけかけ離れた意味の単語を時間内にたくさん挙げなさい」という課題が出たり…。
今まで見たことがないような問題ばかりで、正直対策は不可能でしたね(笑)。もう最後は運に任せるしかないと思いました。
落合: 進学を決めるにあたって迷いはありませんでしたか?
山口: まさか自分が受かるとは思っていなかったので、「本当に私が?」って何度も通知を読み返したほどです。その後、「実際に進学するのか?」という迷いがゼロだったと言えば嘘になります。日本の大学での生活もイメージしていましたし、海外の大学に飛び込むのはやはり不安もありました。
でも、「合格したからには行くしかない!」と最終的には覚悟を決めました。両親も最初は驚きましたが、最後は「あなたがやりたいなら応援するよ」と言って背中を押してくれたので、思い切って決断できました。学校の先生方や友人たちも「頑張って!」と送り出してくれて、本当に周囲に恵まれているなと感じました。
キャンパスなし!世界7都市が教室
落合: こうして晴れてミネルバ大学生となられたわけですが、実際の学生生活はどのようなものですか?聞くところによるとキャンパスが存在しないとか…。
山口: はい、ミネルバには物理的なキャンパスがありません。基本的に授業はすべてオンラインで行われるので、学生は世界中どこにいても同じクラスに参加できます。その代わり、各学年で決められた都市に学生全員が一緒に移り住むというスタイルなんです。1年生の最初の学期はサンフランシスコ、次にハイデラバード…というように、学期ごとに指定された都市に移動しながら4年間で7都市を巡ります。
日本(東京)での拠点は東京・品川に学生寮があって、私もこの夏から品川の寮からオンライン授業を受けていく予定です。
落合: 学生は何カ国くらいから集まっているのでしょうか?
山口: 私の学年は、確か40カ国以上から学生が集まっています。総勢で150人弱くらいでしょうか。そのうち日本出身の学生は私を含めて数名だけです。世界中から集まった仲間と切磋琢磨できるのは、とても貴重な経験ですね。
落合: 日本にいながら海外大学の授業を受けるというのは不思議な感覚ですね。授業はどんな風に進めるんですか?
山口: 授業は全部オンラインで、専用のプラットフォーム上でディスカッション形式のクラスが行われます。教授と学生は画面で繋がっていて、発言を求められたらすぐ手を挙げてディスカッションに参加する感じです。少人数制で双方向型なので、ただ聞いているだけの講義とは全然違いますね。勉強する場所は各自自由で、寮の自室で受けてもいいし、街中のカフェやコワーキングスペースで受ける人もいます。学校として決まった「教室」はないので、自分が一番集中できる場所を自分で選んで勉強しています。
オンライン授業の仕組み
落合: ミネルバでの1日のスケジュールはどんな感じですか?
山口: 私の場合、午前中にオンライン授業を受けて、午後は各自の課題やプロジェクトに取り組むことが多いです。授業が終わった後は、同級生とカフェや図書館に行って一緒に勉強したり、町に出てフィールドワーク的に現地の文化や社会を学ぶ活動をすることもあります。夕方以降は寮に戻って宿題を進めたり、グループで進めているプロジェクトのミーティングをオンラインでしたりしています。自由な分、自分で時間を管理する力が求められる毎日ですね。
落合: 自由で自主性が求められる環境なんですね。一方で、その自由ゆえの大変さもあるのでは?寮生活について率直なところはいかがですか。
山口: そうですね…ミネルバの寮生活は楽しいことも多いですが、環境面では正直ハードな部分もあります。例えば私がサンフランシスコで過ごした寮では、建物が古いせいか夜中の2時に火災報知機が鳴って全員が叩き起こされ、外に避難…なんてことがしょっちゅうでした。誰かがキッチンで夜食を作っていて煙を出してしまったり、こっそりタバコを吸った人がいてセンサーが反応しちゃったり(笑)。おかげで何度も睡眠を妨害されましたし、自炊しようにも設備が限られていて困ることもありました。勉強に集中したい時期にこうした生活面のストレスがあるのは、正直しんどいですね。でも、そういった環境に適応する中で自己管理能力は鍛えられている気がします。
アフリカンタイムVS日本人の時間感覚
落合: それはなかなか過酷ですね。他国の寮でも同じような感じなんでしょうか?
山口: アメリカの学生寮ではありがちなトラブルらしいです。寮生活では他にも、多国籍なルームメイトとのカルチャーギャップに驚くこともあります。私がサンフランシスコで同室だったのはアルメニア出身の子とナイジェリア出身の子だったのですが、やっぱり生活習慣がいろいろ違っていて。例えば、国によっては使用済みのトイレットペーパーを流さずゴミ箱に捨てる文化があると知って驚いたり、「部屋の清潔さ」の感覚が違って口論になりかけたり…。
あとは時間感覚ですね。アフリカ出身の友人たちは総じて時間におおらか(苦笑)で、「アフリカンタイム」なんて冗談もありますけど、待ち合わせに平気で何十分も遅れてきたりするんです。でも、そういう価値観の違いも含めてお互い歩み寄ったり理解し合ったりするのが、多文化環境で暮らす醍醐味だなと実感しています。
落合: 国際色豊かな環境ならではの経験ですね。では、半年ごとに都市を移動しながら学ぶ点についても聞かせてください。引っ越し続きの生活というのは、やはり大変では?
山口: 半年ごとに荷造りして見知らぬ土地へ移るのは、想像以上にバタバタします。でも私はむしろ「こんなノマドな生活、滅多にできるものじゃない!」と前向きに捉えるようにしているんです。荷物を必要最低限に減らす工夫をしたり、どんな環境でも順応できるよう自分を鍛える修行だと思って臨んでいます。確かに体力も気力も使いますが、世界各地に住んで初めて見える景色や出会える人たちがいるので、苦労より得るものの方が大きいですね。この生活で鍛えられた適応力は、将来どんな環境でも役立つと信じています。
落合: ポジティブシンキングですね!ちなみに、ミネルバ大学に進学して「ここに来てよかった」と思う瞬間はどんな時でしょう?
山口: 授業で世界中のクラスメイトと議論している瞬間や、各国の街で生活しながらその土地ならではの学びを得ているときです。例えばサンフランシスコではシリコンバレーのスタートアップ企業を訪問する授業があったりと、教科書だけでは得られないリアルな学びがあります。
同級生もみんな刺激的で、それぞれ強い意志やビジョンを持っているので、話しているだけで視野がどんどん広がっていきます。ミネルバで出会った仲間たちは、きっと卒業後も生涯の友人になるんだろうな、と感じています。

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