2026年度の近畿大学経営学部経営学科の総合型選抜A(グローバル型)が行われました。未来図編集部が独自に入手した受験生の報告をもとに、入試問題の概要と関連する社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!
問題概要
当日は、午前11時から12時までの60分間で小論文試験が行われ、その後、午後1時から面接が実施されました。
小論文では、独自の美意識を貫いた2人の建築デザイナーの作品が、約100年の時を経て社会から評価されるようになったことを題材とする文章が出題されました。
設問は大きく2つありました。第1問では、建築物が社会の美意識を揺るがす存在となった理由について、筆者の主張を踏まえて300字程度で説明することが求められました。
第2問では、長期的な利益を見据えた経営の意味と、そのような企業がビジネス社会で生き残るために必要な戦略について、具体例を挙げながら700字程度で論じることが求められました。
今回の出題で特徴的だったのは、建築デザインという芸術分野の話題から、企業経営における長期的な価値創造へと議論を発展させる構成です。
単に文章を正確に読み取るだけでなく、筆者の主張を企業の経営戦略に応用する思考力が問われたと考えられます。
出題のポイント
① 社会の評価と長期的な価値の関係
今回の課題文では、独自の美意識を持つ建築デザイナーたちが、当時の社会的な評価に左右されず、自らの信念を貫いたことが取り上げられました。
この内容から考えられる重要な論点は、「現在の社会で評価されていないものにも、将来的に大きな価値が認められる可能性がある」ということです。
企業経営においても、短期的な売上や利益だけを追求するのではなく、研究開発や人材育成、環境問題への対応など、成果が表れるまでに時間のかかる取り組みに投資することが求められます。
こうした投資は短期的にはコストになるものの、長期的には企業独自の競争力を生み出す可能性があります。
② 短期的な利益と長期的な利益の両立
第2問では、長期的な利益を見据えた経営について、具体的な企業活動と結びつけて説明する必要がありました。
例えば、食品ロスの削減はその一例です。
食品廃棄を減らすための需要予測システムの導入には初期費用が必要ですが、販売データや天候、曜日などを分析することで発注精度が向上すれば、長期的には廃棄コストの削減につながります。
さらに、環境への配慮を重視する消費者からの信頼を獲得できれば、企業ブランドの向上にもつながるでしょう。
ただし、長期的な利益を重視する企業であっても、事業を継続するためには短期的な収益や資金繰りを確保する必要があります。
そのため、長期的な目標を掲げるだけでなく、投資の効果を検証しながら段階的に事業を展開する戦略が重要になります。
小論文の解答例
第1問
建築物が社会の美意識を揺るがす存在となった理由について、筆者の主張を踏まえ、300字程度で説明しなさい。
【解答例】
その建築物が社会の美意識を揺るがす存在となったのは、デザイナーたちが当時の価値観や流行に迎合せず、独自の美意識を貫いたことで、従来の建築に対する固定観念を問い直す契機となったからである。一般に、美しさの基準は時代や社会によって形成されるため、既存の価値観から外れた表現は、当初は十分に理解されないことがある。しかし、彼らは周囲の評価に左右されず、自らが信じる美を建築物として具体化した。その結果、時代の変化とともに作品の革新性が認識され、従来の美的基準では捉えきれない価値が社会に受け入れられるようになった。つまり、社会の評価によって作品の価値が決まるだけでなく、作品そのものが社会の美意識を変革する力を持っていたのである。
※課題文全文が不明なため、筆者の主張との厳密な対応については確認が必要です。
第2問
長期的な利益を見越して経営することの意味と、そのような企業がビジネス社会で生き残っていくために必要な戦略について、具体例を挙げながら700字程度で述べなさい。
【解答例】
長期的な利益を見越した経営とは、目先の売上や利益だけを追求するのではなく、将来にわたって企業が価値を生み出し続けられるよう、持続的な競争力の確立を目指すことである。私は、そのためには社会課題の解決と企業の利益を両立させる経営戦略が重要だと考える。
例えば、コンビニエンスストアにおける食品ロスの削減が挙げられる。コンビニでは、商品の欠品による販売機会の損失を避けるため、多めに発注する場合がある。しかし、その結果として売れ残った食品が廃棄されれば、企業は仕入れ費用を回収できず、環境にも負担をかけることになる。
そこで、ITを活用した需要予測システムの導入が有効だと考える。過去の販売実績だけでなく、天候や曜日、周辺地域のイベントなどのデータを分析することで、各店舗の需要をより正確に予測できるようになる。こうしたシステムの導入には初期投資が必要だが、食品廃棄や欠品を減らすことができれば、長期的には収益性の改善につながる。
また、食品ロス削減への取り組みは、環境問題に関心を持つ消費者からの信頼獲得にもつながる。価格や商品の種類だけで競争するのではなく、企業の社会的な責任を果たすことが、他社との差別化につながる可能性もある。
もっとも、長期的な利益を重視するあまり、短期的な経営状況を軽視してはならない。企業が存続するためには、安定した資金繰りと一定の利益が不可欠だからである。そのため、まず一部の店舗でシステムを試験導入し、廃棄量や売上の変化を検証したうえで、段階的に導入範囲を拡大することが望ましい。
以上より、長期的な利益を見越した経営を実現するには、社会の変化や課題を捉え、将来の価値創造に向けた投資を継続するとともに、その効果を検証する柔軟な戦略が必要だと考える。
面接の概要
面接は受験生2人が同時に参加する形式で、全体の所要時間は約10分でした。受験生1人当たりの回答時間は実質5分程度と短く、限られた時間の中で志望理由やこれまでの経験を簡潔に伝えることが求められました。
受験生の報告によると、以下のような質問が行われました。
- 本学・本コースを志望した理由
- 高校での学習状況や成績、英語資格について
- 留学で印象に残っていること
- 志望理由書に記載したITやデータ活用への関心について
- 志望理由書に記載したゼミに興味を持った理由
- コンビニエンスストアにおける興味深い食品ロス削減の取り組み
特徴的なのは、志望理由書の内容を踏まえて、学びたい分野への理解や関心を掘り下げる質問が行われたことです。
例えば、ITやデータ活用を学びたいという志望理由に対しては、単にその分野に興味があるという説明だけでなく、具体的にどのような課題を解決したいのかを説明する必要があります。
また、興味のあるゼミについても、活動内容を理解したうえで、自分の将来の目標と結びつけて説明できるようにしておくことが重要でしょう。
まとめ
今回の近畿大学経営学部経営学科の総合型選抜A(グローバル型)では、建築という芸術分野を題材にしながら、長期的な価値創造や経営戦略について考察する問題が出題されました。
特に小論文では、文章の内容を理解する読解力に加えて、抽象的な概念を具体的な企業活動に応用する力が求められたと考えられます。
また、面接では志望理由書の内容を中心に、留学経験や学習状況、専門分野への関心が確認されました。
今後受験する方は、日頃から企業の経営戦略や社会課題に関心を持つとともに、自分が大学で学びたいことを具体的な事例と結びつけて説明できるよう準備しておくとよいでしょう。





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