近畿大学国際学部の入学試験が行われました。未来図編集部が独自に入手した入試問題の概要と、関連すると思われる社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!
問題概要
当日は、日本語小論文(30分)、英語小論文(30分)の2つの筆記試験が行われ、昼休憩を挟んで午後に個別面接が実施されました。
日本語小論文では「高校生の生成AI利用」がテーマとなり、学習に生成AIを活用する利点と問題点を整理したうえで、高校生がどのように利用すべきかを論じる問題が出題されました。解答字数は400字でした。
一方、英語小論文では「在宅勤務とオフィス勤務のどちらが望ましいか」というテーマが出題されました。自分の立場を明確にしたうえで、その理由を英語で論理的に説明する力が求められたと考えられます。受験生の報告では、指定された分量は250字とされています。
午後の個別面接では、日本語と英語の両方で質問が行われました。志望理由や将来の目標に加え、高校時代の活動について、その動機や具体的な行動を深掘りされたことが特徴です。
用語解説:「生成AI」とは
生成AIとは、大量のデータを学習し、利用者の指示に応じて文章や画像、音声などの新しいコンテンツを生成する人工知能のことです。代表的なサービスにChatGPTなどがあります。
従来の検索エンジンが既存の情報を探し出すことを主な目的としていたのに対し、生成AIは利用者の質問に合わせて説明文を作成したり、文章を添削したり、複雑な内容をわかりやすく整理したりすることができます。そのため、近年は教育現場でも活用が進みつつあります。
たとえば、英語学習では自分の作文を添削してもらったり、数学では解法の考え方を段階的に説明してもらったりすることが可能です。一方、生成AIは事実と異なる情報をもっともらしく提示する「ハルシネーション」を起こす場合もあります。また、AIが作成した解答をそのまま提出することが常態化すれば、自分で考える機会が失われるおそれもあります。
つまり、生成AIは学習を支援する便利な道具である一方、使い方によっては学習者の思考力や主体性を損なう可能性もあるのです。
関連すると思われる社会問題
この試験内容から読み取れる関連社会問題として、「教育現場における生成AIの普及と学習者の思考力の育成」が挙げられます。
生成AIの登場によって、従来は教師や参考書に頼っていた学習上の疑問を、生徒自身がその場で解決しやすくなりました。特に、質問することに抵抗を感じる生徒や、自分の理解度に合わせて学びたい生徒にとって、個別学習を支える有効な手段となり得ます。
一方で、レポートや宿題の作成をAIに任せてしまえば、提出物だけでは本人の理解度を判断しにくくなるという問題も生じます。また、AIが提示した情報を十分に検証しないまま受け入れることで、誤った知識が定着する危険性もあります。
こうした課題に対して、文部科学省は2024年12月に学校現場における生成AIの利活用に関するガイドラインを改訂し、学習目的に応じた適切な活用や、児童生徒の情報活用能力の育成などを重視しています。
ほかにも、AIを利用できる家庭と利用できない家庭の間に生じる教育格差、個人情報の保護、AIが生成した文章の著作権なども関連する社会問題です。
国際学部の受験生としては、単にAIの利用に賛成か反対かを述べるだけでなく、技術の進歩によって社会や教育のあり方がどのように変化するのかを考える視点が求められます。特に、異なる価値観や文化的背景をもつ人びとと協働するうえで、人間にしか担えない対話や判断の役割を考察することも重要でしょう。
日本語小論文 理想回答の一例
① テーマ理解
この問題で問われているのは、生成AIの利点と欠点を理解したうえで、高校生が主体的に学ぶための適切な活用方法を提案できるかという点である。重要なのは、AIを利用すること自体の是非ではなく、学習のどの段階で、どのような目的をもって利用するかを考えることである。
② 内容展開の方向性
A. 生成AIの利点として、個人の理解度に応じた解説や文章の添削などを通じて、学習効率を高められることを示す。
B. 一方で、AIに解答を依存すると、自分で考える機会が減少し、思考力や問題解決能力の育成が妨げられる可能性を指摘する。
C. AIを答えの代わりとして利用するのではなく、自分の考えを深めたり、理解を確認したりする補助的な道具として位置づける。
③ 解答例(400字以内)
私は、高校生は生成AIを答えを得る手段ではなく、自分の思考を深める補助的な道具として活用すべきだと考える。
生成AIの利点は、一人ひとりの理解度に応じた学習を可能にすることである。例えば、授業で理解できなかった内容を自分の言葉で質問すれば、異なる説明や具体例を得られる。また、英作文の添削を通じて、自分では気づかなかった誤りを発見することもできる。
一方、宿題やレポートの作成をAIに任せてしまえば、自ら考える機会が失われる。さらに、AIの回答には誤情報が含まれる可能性もあり、無批判に受け入れることは危険である。
そのため、高校生はまず自分の力で課題に取り組み、その後、理解の確認や別の視点を得るためにAIを活用すべきである。また、得られた情報は教科書や信頼できる資料と照合する必要がある。
重要なのは、AIに思考を任せるのではなく、AIを活用しながら自ら判断する力を養うことである。
英語小論文 理想回答の一例
① テーマ理解
英語小論文では、在宅勤務とオフィス勤務のどちらが望ましいかという問いに対し、自分の立場を明確にしたうえで、その理由を論理的に説明することが求められた。
この問題のポイントは、単に「在宅勤務は便利だからよい」「オフィス勤務は人と話せるからよい」と述べるのではなく、働き方の違いが生産性やコミュニケーション、ワークライフバランスにどのような影響を与えるのかを具体的に考察することである。
② 内容展開の方向性
A. 在宅勤務またはオフィス勤務のどちらを支持するのか、冒頭で立場を明確にする。
B. 自分の立場を支持する理由を2つ程度挙げ、それぞれについて具体例を示す。
C. 反対の働き方にも利点があることを認めたうえで、それでも自分の選択が望ましいと考える理由を述べる。
③ 解答例(約250語・オフィス勤務を支持する立場)
I believe that working at an office is better than working remotely from home. Although remote work has many advantages, I think working in an office is more effective, especially for communication and personal growth.
First, working in an office allows employees to communicate with their coworkers more easily. For example, when someone has a question or faces a problem, they can ask their colleagues for help immediately. Face-to-face communication also helps people understand each other's feelings and opinions through facial expressions and body language. This is important because good relationships among coworkers can improve teamwork.
Second, working in an office provides more opportunities to learn from others. Young employees can develop practical skills by observing experienced coworkers. They can also receive advice and feedback through everyday conversations. These experiences may be more difficult to gain when working alone at home.
Of course, remote work also has benefits. It saves commuting time and allows people to spend more time with their families. It can also help employees concentrate on tasks that require individual work. However, I believe communication and teamwork are especially important in today's global society.
In conclusion, I prefer working at an office because it encourages communication, cooperation, and personal development. While remote work is useful in some situations, I think working with others in person provides valuable experiences that cannot be fully replaced by online communication.
面接について
・面接の形式:個別面接(日本語・英語)
・面接官の人数:2人
・面接時間:約20分
実際にあった質問
【日本語】
- 今まで熱中して取り組んだことを一つ教えてください。
- 将来どのような職業に就きたいですか。
- その職業を目指すきっかけとなった人物はいますか。
- 留学以外で、高校生活ではどのような活動をしましたか。
- その活動はどのように行いましたか。自分から始めたのですか。また、なぜ行おうと思ったのですか。
【英語】
・How are you?
・How did you come here?
・Where did you come from?
・Why did you choose this department?
・Tell me about the person you mentioned before.
日本語面接では、受験生の将来の目標や高校生活での活動について、具体的な質問が行われました。
一方、英語面接では、日常的な質問に加えて、学部を志望する理由や、日本語面接で言及した人物について説明することが求められました。受験生は、実践的なコミュニケーションを学べる環境や、英語村で英語を使用する機会があることを志望理由として挙げています。
今回の面接では、志望理由書の内容を細かく確認するというよりも、高校生活での取り組みについて、その動機から具体的な行動まで深く掘り下げる質問が多かったようです。
特に、「なぜその活動を始めたのか」「自分から行動したのか」「どのような方法で実現したのか」といった質問からは、単なる実績だけでなく、受験生自身の主体性や行動力を確かめようとする意図が読み取れます。
また、日本語面接で話した人物について英語でも質問されていることから、日本語で準備した回答をそのまま暗記するだけでは不十分だと考えられます。自分の経験や将来の目標について、日本語と英語の両方で一貫して説明できるようにしておくことが重要でしょう。
なお、当日は午前10時に集合し、日本語小論文と英語小論文を受験した後、昼休憩を挟んで午後に個別面接が実施されました。受験生によって面接の開始時間が異なり、午後3時過ぎまで試験が続く日程だったようです。小論文の時間配分だけでなく、長時間の試験でも集中力を維持できるよう準備しておきたいところです。





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